正しい水分補給の仕方についてNSCAが示すガイドラインにしたがって、解説していきます。
水分補給とワークアウトについて
脱水は運動能力の低下を引き起こします。つまり脱水はワークアウトの質を低下させ、成果を出す障害になるということです。
約2~3%の脱水でパフォーマンスの低下は起こりますが、人の脳(視床下部)は1~2%の脱水が起きなければ喉が渇きません。パーフォーマンスが落ちるぎりぎり手前でなければ脱水していることに気づけないのです。
運動していない人がどれくらいの水分補給をしたら良いのかについての研究は少なく、明確な答えは出ていませんが、運動と水分補給についての研究はもう少し進んでいます。
運動前
運動する4時間前には体重1㎏あたり5~7mlの水分を摂取しましょう。
体重65㎏の人であれば、325ml~455mlの水分補給が必要です。グラス一杯くらいですね。
尿の量が少ない、または色が濃かったり出なかったりした場合は、さらに体重あたり3~5mlの水分を摂りましょう。
運動中
運動中は汗で失った分の水分を補給できるくらい飲むことが理想的です。
実はコレ、消化器官が吸収できる水分量を考えるとほぼ無理なんですが…そこら辺は次回の記事で解説しようと思います。
ただし、水分補給をすること自体は絶対に必要なので喉が渇く前に、こまめに飲みましょう。
運動後
ほぼ全ての運動の後は共通して軽い脱水が起こります。
運動後の水分補給の目的は、失われた水分と電解質(水に溶けると電気を通すようになる物質で、体液に含まれている。筋肉細胞や神経細胞の働きに関わる。)を補うことです。
運動前と体重を比較し、体重の減少量450gにつき、0.6~1.7Lの水分を補給する必要があります。
できればナトリウムを含むスポーツドリンクなどを摂りましょう。
運動前後には何を飲むべき?
飲み物と食品から摂取する全ての水分が、体の水分補給に役立ちます。実際、水分摂取のほとんどは食事中やその前後で行われるため、運動中の水分補給よりも重要です。
飲食物に含まれる水の量はジュースやソフトドリンクで89%、牛乳で90%、ピザですら50%が水です。
運動前後の水分補給は、水でも、ジュースでも、牛乳でも、炭酸飲料でも、スープでもなんでもOKです。
また、大量に汗をかいた場合は、食塩を摂取すると、尿の量が最小限に抑えられるので、脱水からの回復がより早くなります。
カフェインが入ってる飲み物でもいいのか
カフェインには利尿作用(通常よりも排尿量を増やす働き)がありますが、1~4日程度でカフェインに対する耐性は作られます。カフェインに耐性のある人は排尿量の増加がないことが研究から分かっています。そのため、コーヒーやお茶などのカフェインを含む飲料でも問題ありません。
運動中は水?スポーツドリンク?
運動の時間が1時間未満であれば、「水」で充分です。
運動の時間が1時間以上であれば、「スポーツドリンク」(塩分/ナトリウムと糖分/グルコースを含む物)を補給しましょう。
運動中に糖分を摂ることは、持久力やスピードを向上させることが目的の場合は重要です。一方、減量や健康のために運動している人にとってはさほど重要ではありません。また、カロリー制限を行っている場合はスポーツドリンクの糖分は控えた方が良い場合もあります。
まとめ
- 運動前には体重あたり5~7mlの水分を補給する
- 運動後には体重減少450gあたり0.6~0.7Lの水分を補給する
- 運動前後の水分補給は何でもOK
- 汗をたくさんかいたら食塩も摂る
- 運動時間が1時間未満であれば水、それ以上であればスポーツドリンクを推奨