水は一日に何リットル飲む必要があるのか、水分は体の中でどんな役割を担っているのか。今日の記事では水分の役割と、一日あたりの必要量について解説していきます。
水分の役割
標準体型の成人の場合、体重の約60%が水分です。65㎏の人の体であれば、約39㎏は水だということになりますね。すごい量です。
水分には主に3つの働きがあります。
1体温調節
水は比熱(物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量)が高く、あたたまりにくく冷めにくいという性質をもっています。この性質のおかげで、30℃以上の真夏日も、0℃以下の真冬日も人体は平熱を保つことができています。
また、水は気化熱(蒸発するときに周りから熱を奪うこと)が大きいため、汗をかくことで効率的に熱中症を防いでいます。
ちなみに、体温が下がりすぎると免疫力が低下したり、新陳代謝(必要なものを体内に取り入れ、不必要になったものを体外に排出する代謝活動)が低下し、便秘などの原因となってしまいます。
2栄養素の溶解と運搬(溶かして、運ぶこと)
食物から摂取した栄養は血液などの体液に溶けて、脳を含めた体中に運ばれます。水分量が不足するとせっかく食べた栄養が体に運ばれず、筋肉が成長しません。また、体脂肪も体液に溶け出すとこでエネルギーになるので、運動中のダイエット効果も減少してしまいます。
ボディメイクに脱水は天敵だといえますね。
3関節の負担軽減、潤滑油
可動関節(肘や膝などの大きく動く関節)を作る骨と骨は関節包というものに包まれており、滑液という液体で満たされています。この液体は、重い物を持ち上げたり、歩いたり走ったりする時などに関節にかかる負担を軽くする役目があります。
一日あたりの必要量について
人はほぼ毎日、老廃物などを糞便として水分と一緒に体の外に出します。また、水分は水蒸気となって口や皮膚から常に放出されています。つまり、運動せず汗をかかない日でも、体から水分は失われているということです。
日常生活で失われた水分は、1日あたり、1.4~2.6Lの水分摂取で補うことができます。ただしこれは健康な成人が、温度調節のできる室内で、運動せずに1日過ごした場合の数字です。
ちなみにこの水分は飲料だけでなく、食べ物に含まれている水分も含みます。そのため、わざわざこの量の水を飲む必要はありません。
多めの水分摂取は健康?不健康?
はっきりとした答えはありませんが、疾病予防と水分摂取の関係性を調査した研究では、大量に水分を摂取することで膀胱癌、腎結石、胆石、大腸癌を予防する可能性があるかも知れないという程度までは分かっています。
ただし、摂りすぎは良くありません。
摂取しすぎた水分は腎臓によって尿として排出されますが、腎臓の機能が衰えていたり、腎臓の能力を超えて水分を摂取しすぎると、水中毒という状態になります。
水中毒は体内のナトリウムの濃度が低くなってしまう状態のことで、軽い症状では疲労感、重い症状では意識の昏睡などが起こります。
最後に
必要な水分摂取についての研究は非常に少なく、明確な答えは現段階では出ていません。
また、水分は他の栄養素と違い、一日あたりの必要量を決めることは不可能です。
必要な水の量は環境、汗の量、体の大きさ、筋肉の量、カロリーの摂取量など様々な要因で変化します。人によって、またその人の状況によって変化するものです。
巷のウワサを鵜呑みにせず、自身の体調をよく見極めて水分補給をしていきましょう。